スペインのサッカー バスクのサッカー全般

スペイン・ビルバオのサッカー環境 ~施設から試合の環境まで~

スペインがサッカー大国である理由の1つとして、サッカーをする、観る環境に対するお金のかけ方が日本とは比べ物にならないほど違う、ということが挙げられます。

国や州、また県それぞれでもサッカーを支える環境を作り上げているのがスペインの凄さの1つです。今回はビルバオのサッカー環境を施設の面と、練習や試合を行う面での日本との違いを紹介していきます。

人工芝グラウンドが県内に150!?

ビルバオはスペインのバスク州、ビスカヤ県にある市の1つで、スペインの中では経済的に豊かな都市と言えます。面積的には日本の広島県や岐阜県と同じ程度の大きさです。

驚くべきことは、県の中に人工芝のサッカー専用グラウンドが

150面以上」

あるということです。この数でピンと来ない方は、以下のことを想像してみてください。日本で育成年代の選手たちが練習しているのはどこでしょうか?学校のグラウンドや地域のスポーツ施設で、そのほとんどが「土」のグラウンドです。

人工芝のグラウンドで練習できるのは私立の学校が専用グラウンドを持つか、地域が運営する人工芝グラウンドをレンタルして週に数回借りられるかどうかという限られた条件でしか使えません。

さらに公式戦においても土のグラウンドで試合をしているというのが日本の現状です。

ビルバオでは逆に人工芝のグラウンドしかなく、土のグラウンドでサッカーをするということはありません。

そのグラウンドを保持しているのは市で、市から各クラブが借りて使用していると名目上なっていますが、暗黙の了解でほぼ各クラブの専用グラウンドとして使用しています。

この人工芝で常にサッカーができる環境があるからこそ、パスやコントロールの技術、顔が自然に上がる、キーパーが痛みを気にする事なくセービングできるということにも繋がっています。

ロッカールーム文化

日本で試合や練習会場についてどのように着替え、準備しますか?駐輪場や木陰に荷物を整えておいて、サッカーの練習や試合をして、タオルで汗を拭いて着替えて帰るというのが一般的なスタイルではないでしょうか。

スペインの場合、グラウンドには必ずロッカールームが設置されており、そこにはシャワーもあります。

練習の日は荷物を置いて、ロッカールームで着替えて、練習後はシャワーを浴びて帰るというのがスタイルです。

また、試合の日はロッカールームで試合前やハーフタイムのミーティングを行うなど、プロと同じような形で行います。

留学で参加するときに注意しなければいけないのは、

ロッカールームの外で着替えたり、シャワーを浴びずに帰るというのはマナー違反

であるということ。これは日本とスペインの文化の違いですので、郷にいれば郷に従えで対応するようにしましょう。

グラウンドにはスタンドとバル

人工芝グラウンドが150面以上あると紹介しましたが、グラウンドにほぼ必ず

「スタンドがある」

と言うのが普通です。大体200人以上は座って観戦できる規模のところがほとんどではありますが、週末はサッカーを観戦する人で溢れます。

スタンドがあるのには理由があり、ほとんどのチームは育成年代だけでなくトップチームまで持っており、それがこちらではスタンダードです。

そして各チームにはソシオ(ファン会員)がおり、チームを週末のリーグ戦で応援するというのが暮らしの一部伴っています。

スタンドがないと観戦できないじゃないか、だったら設置しないとダメだよねというのが、こちらの考え方です。

日本ではスタンド付きのグラウンドは探してもそれほど多くないのではないでしょうか。これもサッカーを支える環境の違いと言えます。

 

また、驚きであるのが、グラウンドには必ず

「バルが併設されている」

ということ。バルではお酒やソフトドリンク、食べ物、お菓子などが販売されており、練習中には保護者のたまり場となります。

また選手が練習後にすぐに軽く食事をとったり、試合の日にはハーフタイムや試合後にサポーター達がビールを片手に語り合う場となります。スペインではそれが当たり前の光景の1つで、サッカーの一部でもあります。

このようにスペインではサッカーをする人だけではなく、見る人も含めてサッカーであるというのが考えのベースにあるからこそ施設が充実しているのですね。

育成年代の試合でも入場料がいる

週末に試合でもに観に行こうかと思い、中学生の試合がやっているのを発見、グラウンドに入ろうとすると、「入場料いるよ」と門番のおじさんにストップされます。

そう、ビルバオでは(スペイン全土でも同じ)プロの試合だけでなく育成年代の試合でも入場料を支払わなければなりません。

しかし、後半から入場する際は無料で入れますので、前半は近くの小高い場所から見て、後半から入場してみるなんて人もいます。

また、入場料が必要となるのはジュニアユース年代からで、この年代からは観客がお金を払って自分たちのプレーを観ているという自覚が必要とされます。

クラブやチームにもよりますが値段の目安は下記の通りです。

ジュニアユース年代 5ユーロ以下
ユース年代 5ユーロ以上
大人4部リーグ以下 10ユーロ前後
3部リーグ 15−20ユーロ
2部リーグ 25ユーロ以上
1部(リーガエスパニョーラ) 30ユーロ以上

審判は1人だけ!?

スペインに来て初めて育成年代の試合を観た時、選手が整列している中、主審が1人出てきました。副審は遅れて出てくるのかと思っていましたが、そのまま試合は始まり、結局試合は主審1人だけで行われました。

ちなみに公式なリーグ戦での出来事です。後から聞いてわかったのですが、こちらでは主審1人で基本的に副審は置かないとのことでした。何故ならば

お金がかかるから

といういたってシンプルな理由でした(ユース年代の最高峰リーグでは副審がつきます)。日本では練習試合でも公式戦でも主審、副審を置き、高校などでは副審を生徒が行うなんてこともあります。

日本の素晴らしいところは、お金をもらえなくてもリーグの運営のために協力しあって審判を出し、自分の試合の前だったとしても真剣に役割をこなして務めるというところです。日本は教育されているなと実感します。

しかしこちらでは、そのような日本の常識は通用しません。そもそもホーム&アウェー文化のため、同じ会場で他チームが試合をするということはなく、審判を試合前にするということ自体できないのですが、それだけではなく練習試合で副審を出し合うとしても自チームの有利になるように審判してしまいます。

何故なら負けたくないから。いたってシンプルな理由ですが、それがこちらの国民性であり、教育文化の違いとも言えます。

育成年代の試合でもヤジが飛ぶ

サッカー環境の違いとして、選手を取り巻く周りの環境もスペインの選手を成長させる大きな要素の1つで、試合中の観客からのヤジはその1つの要因となっています。

育成年代の試合は、保護者を始めクラブの他の年代の選手、ファンなど多くの人が観戦に訪れ、相手チームや審判などに対して容赦なくヤジが飛ばされます。また、自チームのプレーヤーに対してもプレーに関する指示を出すなど観戦者は自由です。

そのストレス、プレッシャーに耐えながらフィールドの中の選手はプレーしなければならず、メンタル面でも大きく成長し、それがゆくゆく大人になった時に役に立ち他国との差となって現れます。

日本の場合、今では保護者がピッチ外から何かを言うと注意されたりと、静かに観戦したり応援のみするようにと言われており、全く逆の方向に向かっています。

どちらが良い悪いではないですが、スペインのサッカーではヤジもサッカーの一部であると言えるでしょう。

まとめ

人が育つには環境が大切だとはよく言われますが、サッカーにおいても同じで、スペインでは環境が整っているのとともに、観客からのヤジなどプレッシャーをかけられる環境もあるため、選手の成長にプラスになります。

また、サッカーは選手だけのものではない、観る人々のものでもあると言うのを体現してくれる環境がスペインにはある、それもこちらに来て感じて学べることの1つです。ぜひ留学や観戦等で訪れた際には、環境の違いを肌で感じてみてください。

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