スペインのサッカー スペインの育成年代

スペイン・ビルバオと日本のサッカー育成の違い

「スペインはバルセロナみたいにボールを握って面白いサッカーをする、きっと育成が優れているから日本もスペインを参考にしよう」と日本サッカー協会が考えて数年が経ち、様々な指導方法が日本にもスペインから輸入されました。

しかし、日本のサッカーはスペインみたいになったのかと言われるとどうなの?と思わざるを得ません。そもそも、日本とスペインは環境も違えば育成に対する考えも全く違います。

今回はスペインと日本の育成の違いを紹介しつつ、お互いのいいところを見つけていきたいと思います。

何歳までを育成っていうの?

日本で育成というと、何歳くらいまでをイメージしますか?大体の人は高校生が終わるまで、と考えるのではないでしょうか。

つまり日本ではU18までが育成年代と位置付けられています

小学生ではドリブルなど基本的なボールコントロールをみっちりと教え込み、中学生ではボールを保持することを教えられ、高校では走り込みをしたりと辛い練習を繰り返す…全てのチームではありませんが、そのような日常が日本の育成年代では見受けられます。

一方スペインではU14までをfutbol base(フットボール・ベース)と言い、勝利よりも育成に比重を置いていますというように形式上は分けられています。

ちなみにスペインは年代別に下記の通りカテゴリー分けされています。

・Juvenil(フベニール) 17−19歳の3年間

・Cadete(カデーテ)     15−16歳の2年間

・Infantil(インファンティル)13−14歳の2年間

・Alevin(アレヴィン) 11−12歳の2年間

・Benjamin(ベンハミン)9−10歳の2年間

・Prebenjamin(プレベンハミン)7−8歳の2年間

アレヴィンまでが7人制サッカーで、インファンティルから11人制のサッカーへと移行します。インファンティルの2年間が終了するまでを育成と位置づけ、それ以降の年代では勝利するために行う競技スポーツへと変わっていきます(地域によってはインファンティルから競技スポーツにしているところも多々あります)。つまり日本の高校年代はスペインでは育成扱いではないということです。

そもそもスペインでは育成という考え方はない?

日本で育成が示すものは、勝利よりも技術や自分たちのサッカーを大切にしていこうというものです。例えば今週はドリブルで相手を突破するトレーニングをしたから、試合ではどんどん相手を抜くチャレンジをしよう!とコーチが言っていることはよくあるのではないでしょうか?

つまり、  

日本の育成=個人技術、その中でもボールタッチ能力の育成

なのです。

ではスペインではどうかというと、コートを広く使うことや、ポジショニングのこと、体の向きや周囲の情報を得ることなどが教えられます。

しかし、試合になるとそんなことよりも勝利することが優先され、コーチは「縦にけれ」など日本ではオーバーコーチングと言われるほど具体的な指示を出します。それもそのはずで、こちらでは勝利することの方が大切だからです。

つまり、 

スペインの育成=試合で勝つための方法を伝える 

です。なので日本での育成とは意味合いが異なり、勝つためにやるのがサッカーだという前提のもと必要な情報を伝えることが育成に結果的につながるといえ、育成を意識して行なっていません。(プロクラブは例外です)

リーグ文化の浸透と常に競争に晒されるスペインの子ども達

スペインではベンハミンの頃からリーグ戦が年間を通じて行われ、ホーム&アウェーで試合を行います。そのため練習試合はプレーシーズンのみでシーズン中は週末の一度の公式戦に向けてトレーニングを行います。

そうしたリーグ戦文化を幼少時代から戦ってきている彼等は、日本の選手よりもより真剣勝負の機会が多いと言えます。さらに彼等を成長させるものとして、移籍が普通に行われるということです。

スペインではシーズン終盤になるとこのようなシーンがよくあります。チームの監督や代表に突然呼ばれ、

「君とは来シーズンは契約しない、他のチームへ行ってくれ」

とチームをクビになるのです。別にプロでもない普通の街クラブの育成年代のチームで。逆に上手ければプロチームや街クラブの強豪チームにハンティングされ移籍していきます。そういうふるいにかけられながら毎シーズンを過ごしているので、そりゃ強くなります。

この移籍によって、同じレベルの選手でチームを組むことができる、またそれと同等の力を持ったチーム同士のリーグで戦えるというピラミッド構造が見事に出来上がるのです。これがスペインの選手たちを強くする最大の仕組みです。

日本の場合だとリーグがあるとは言え、その重要性はまだまだ高いとは言えません。また10−0で勝つなどレベルの違うチーム同士が同じリーグにいるということも多々あります。

それと同じく移籍がほとんど行われないため、チーム内でもレベルの差がある状態でトレーニングや試合をするということもよく見られます。この部分に関しては日本はスペインを見習うべきかもしれないですね。

フットボールベース年代のサッカー

スペインの育成年代(あえてそういう呼び方をしますが)ではどういう指導がされているのか、カテゴリー別に詳しく見ていきましょう。

【ベンハミン(9-10歳)】

7人制。団子サッカーではなくポジショニングをしっかりと取った状態で試合が行われています。コーチが指示する内容は多くはありませんが、自由にプレーさせつつポジショニングとポジションの役割を教えていきます

練習ではコーディネーションを取り入れたり、日本のようにコーンドリブルをしたりボールタッチも行いますが、多くの時間をゲームや大好きなシュート練習に使います。

日本のようにフェイントの種類を学んだり、キックやドリブルの具体的な方法を教え込むということはほぼありません。

【アレヴィン(11-12歳)】

7人制。幅と奥行きをとってコートを広く使いながら試合をすることを覚えていきます。また、試合中はスペースを効果的に見つけて攻める、ボールを簡単に預けてプレーリズムを上げるなど、すでにサッカーになっている年代です。

日本のようにドリブルで後方から突破していくようなシーンはありません。

練習ではオープントレーニングがほとんどを占め、ボールポゼッションやゲーム形式のトレーニングでサッカーの原理原則を学んでいきます。

【インファンティル(13-14歳)】

11人制。この年代から11人制サッカーが始まるため、ポジショニングや各々の役割と学んでいき、2年目はより戦術的な要素が増えていきます。

相手のシステムによってどこにスペースができるのか、相手がどのように守備をしてくるからどう対応すべきかなど、試合を通じてコーチングされていきます。

練習ではサッカーの原理原則をより深く学んでいき、トレーニングの内容もクロスに対する攻守の方法、ゴール前での対応などシーンの切り取りトレーニングも増えていきます。

このように、日本ではサッカーに必要な技術を学ぶのに対し、スペインではサッカーをする上で必要な個人戦術、チーム戦術を学びます。

それが違いではありますが、日本が決して悪いやり方をしているとは言えません。何故ならば足元の実行技術のレベルでいうとスペインよりも高いものを持っているからです。

また、スペインの指導者は日本の指導者ほど個人技術の細かいところを指導できないでしょう。日本は日本の強みを生かしながら、スペインのいいところを取り入れることができれば、より選手のレベルは上がっていくかもしれません。

トレセンの仕組みの違い

スペインはトレセンというよりも選抜という考え方が強く、県選抜、州選抜、ナショナルチームと3段階に分けられており、その選抜もカデーテ以上からです。

選抜方法も日本のようにセレクションがあるわけではなく、県協会が選手をチェックして招集をかけ、集まった選手で試合をして解散するという非常に単純なものです。

そこにはトレセンで育てていくという考えもなければ、計画性もありません、ただの選抜チームです

その背景には各クラブの活動だけで十分に選手が育成されるということと、トレセンのような活動をすると言っても、毎週クラブが選手を貸し出すようなことはしないであろうからです。そんなことをしていると週末のリーグ戦に影響が出てきてしまいますからね。

 一方日本のトレセンシステムは素晴らしく整えられており、地区トレセン、都道府県、地域、全日本とセレクションがあり、活動としても定期的にトレーニングがあり、リーグ戦があったりと計画的にどのように選手を育てていくか話し合われています。

このようにチームから選手を快く貸し出してくれるのも、日本の良さの1つではないかと思います。

まとめ

日本にはなくてスペインにはあるものが存在すると同時に、スペインにはなくて日本にはある良い部分も多く存在します。

日本がスペインの育成の全てを真似する必要はなく、おいしい部分だけを取りながら日本らしい形で各指導者が工夫をしながら選手とトレーニングしていくことが大切です。

とはいえサッカー大国スペインに日本が追いつくのは、まだまだ時間がかかりますが、育成のことを真剣に考える日本ならばいつの日か追い越せる日が来るかもしれません。

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